2024年の7月に和歌山県那智勝浦町の湯川温泉にある旅館 恵比須屋に宿泊してきました。歴史ある温泉地で唯一宿泊の営業をしている宿でとても気持ちがいい温泉に入ることができました。アットホームな雰囲気の宿に夕食と朝食の2食付きで土曜日に宿泊でき宿泊料も手ごろでした。
この日は和歌山への3泊4日の旅の2日目でした。東京都和歌山の間は青春18きっぷで移動し、和歌山では那智勝浦町で4か所の温泉に入ったりラーメンや勝浦港名物のマグロ料理などを食べたりお隣の太地町まで船で行ってクジラの博物館にも行ってきました。旅行全体についてはこちらの記事にて。 続きを見る
青春18きっぷで夏の和歌山へ。2024年7月
湯川温泉の最寄り駅はJR紀勢本線(きのくに線)の湯川駅です。
湯川駅から国道沿いに少し歩くとゆかし潟という湖が見えてきます。
湖沿いに少し歩くと湯川温泉とゆかし潟の看板があります。駅からは徒歩でだいたい15分位でした。
湯川温泉はゆかし潟の周辺にある温泉地で全国に同じ名前の他の温泉地があるので南紀湯川温泉とも呼ばれているようです。1500年ほど前に伊勢から来た二人の老人を住人のもてなしたところ杖で地面を撫で、そこから温泉が湧いてきたという伝説があるそうです(温泉あるあるの杖で温泉出しがち)。熊野古道の大辺路が通っていた事から熊野詣の際に身を清める湯垢離場としての役割を持っていた時代もあったようで、ゆかし潟の近くで熊野古道と書かれた看板を何カ所か見かけました。(熊野詣の湯垢離場といえば湯の峰温泉が有名で僕も少し前に行った事ありました。)以前は温泉宿が多くあったようですが今はいくつかの日帰り温泉施設があり、それぞれの施設が温泉好きからの評価が高いようです。
ゆかし潟は海水と淡水が入り交じっている汽水湖で元々は海の入り江だった場所が河口近くの川に流れてきた土砂などで海と切り離されて湖になり今でも海の満潮時には海水が入り込むため海の生物も生息しているそうです。
先程の看板の近くには きよもん湯という日帰り温泉施設があります。元々は喜代門旅館という老舗の温泉旅館で上皇陛下が皇太子時代に宿泊した事もあったそうです。その施設や自家源泉を引き継いで日帰り入浴施設として営業してるようです。今回は時間の都合で行きませんでしたがこちらも源泉かけ流しでお湯が使用されているようなので行ってみたいです。
こちらの施設と国道を挟んだところのゆかし潟湖畔にある喫茶きよもんという飲食店(こちらは湯川温泉ホテルという宿のレストランだった場所だそうです)は勝浦温泉の一の滝という温泉宿が経営しているそうです(僕はこの翌日に一の滝に宿泊しました)
きよもん湯の前の道を進んでいきます。
きよもん湯のすぐ奥に旅館 恵比須屋があります。この近くにいくつか温泉宿があったようなのですが今は恵比須屋のみが営業しています。
旅館 恵比須屋は明治時代に創業の温泉宿で明治の建物を改装しながら使われているそうです。(泊まった時はそこまで昔の建物だとは思わなかったのですが後から予約サイトの口コミ欄に対する宿の返信に書いてあるの見かけました。)
建物の角に玄関があります。チェックインは15時からと標準的な時間、チェックアウトは少し早めの9時まででした(2024年時点)。
扉から入ると広々とした玄関になっています。こちらで靴を脱いでスリッパを履いて館内へ。
パンフレットなどが玄関近くに並んでいました。
椅子やテーブルがあるロビーもありました。
2階に階段で上がります。
今回宿泊した部屋です。畳敷きの和風の部屋で落ち着きます。
玄関の斜め上あたりの場所にあるお部屋でした。日中は大きな窓から光が入ってきて気持ち良かったです。
窓からはゆかし潟の奥の方の山々の景色が見えて夏の自然を満喫できる感じでとても良かったです。
廊下からの扉と畳の部屋の間にはスリッパを脱ぐ場所がありました。
窓の横にちょっとしたスペースがある珍しい造りのお部屋でした。こちらにタオル掛けや鏡なども設置してあります。
入口と反対の壁側です。
収納には浴衣やタオル、バスタオルなども用意されていました。
テレビや電気ケトル、内線用の電話機などもありました。
机の上にはお茶セットやお茶請けのお菓子、リモコン類や説明書きのファイルなどが。
布団はチェックイン時にあらかじめセットしてありました。
トイレは部屋に無く共用のものですがウォシュレット付きのものでした。
温泉の浴室は1階にあって貸し切りで入浴できます。使用する時間は基本チェックインの順番で貸切の時間が決まり、貸切で入浴している間の時間に湯口から源泉を浴槽に投入してもらい使用します。この日は夕方に準備ができてから入浴でき、その後夕食時間にももう一度入浴させていただき、翌朝も入浴させていただきました。朝も入浴したい場合は準備をしてもらって入浴する感じになるのでチェックインした日に朝も入浴したいと伝えておく感じでした(その場合、朝は早くても7時からの入浴になるようです)。
脱衣所は棚にカゴが置いてあるシンプルなタイプ。
脱衣所にある洗面台。
脱衣所から浴室に入ると縦長のスペースで奥に浴槽があります。
浴槽は2~3人はゆったり入れそうなサイズでした。
無色透明なお湯で硫黄(硫化水素の)と少し焦げてるような個性的な香りがしてツルツルとした肌触りのとても気持ちがいい温泉でした。源泉の温度が低いので加温されていて浴槽のお湯はぬる湯よりは少し高めくらいでした。
浴槽の一番奥の壁際から源泉がどんどん投入されていて新鮮なお湯を楽しめました。
源泉が投入された分だけ浴槽の淵からお湯が溢れて源泉かけ流しでお湯が使用されています。入浴している時間はずっと湯口から結構な勢いで源泉を投入されていたのでお湯もどんどん溢れていっていました。
洗い場は2カ所ありそれぞれシャワーもあります。
浴室全体は貸切で使用するには充分な広さでした。
泉質はアルカリ性単純温泉(低張性アルカリ性低温泉)。温度は33.9度のため加温して使用しています。pH9.1のアルカリ性。湯使いは加水や循環、塩素消毒剤の投入はありません。
1号源泉という源泉名で合名会社湯川温泉住民会という会社の源泉でした。この源泉は以前は周りのいくつかの温泉宿で使用されていたそうですが今はこちらの宿と一般住宅でのみ使用されているそうなので住人の方以外で入れるのはこの宿だけのようです。
浴室はもう一か所ありこちらも貸切での利用です。その日の宿泊者の人数によってはどちらか片方の浴室だけ使用のこともあるようです(僕が泊まった時は何組か宿泊していたのと日帰り入浴のお客さんもいたようで2カ所とも浴槽が使用できました。)
こちらの脱衣所ももう片方と同じく棚にカゴがあるのみのシンプルなタイプです。日帰り入浴でも貸切で利用できるのでロッカーは無くても荷物の置き場などは気にならなさそうです。
こちらの浴室はもう片方に対して少しコンパクトなようです。
使用されているお湯はもう一つの浴室と同じ源泉です。
こちらの浴室も入浴中は湯口からは勢いよく源泉が投入されています。
源泉が投入された分だけ浴槽からどんどんとお湯が溢れていました。
こちらの浴室はシャワー付きの洗い場は1カ所でした。
浴室全体のサイズはコンパクトですが1人で貸切で入るには充分な広さがありました。
夕食は18時からで1階の部屋で頂くようになっていました。お刺身などの魚介類が多く、それ以外にもお肉、お蕎麦などもあり宿泊料以上のボリュームがあるように思う夕食でした(こちらにプラスでご飯もありました)。デザートにスイカがあったのも夏らしさが味わえて嬉しかったです。
朝食は7時からで夕食と同じ部屋で頂きました。朝食も充分な量のお料理で朝からしっかり食べる事ができました(朝食もこちらの画像プラスご飯もありました)。
恵比須屋の場所は国道42号から路地に入ってすぐの場所です。以前車でこの道をとったことがありましたが、カーブが続く区間で先が見えず楽交通量は多くない分車の流れも速かったので通り過ぎないように気を付けて運転した方が良いかなと思います。公共交通機関の場合は那智勝浦町の町営バスが湯川温泉にバス停があり特急列車が停まる紀伊勝浦駅や太地駅からも乗ることができます。本数は少ないので那智勝浦町のHPの路線バス案内で確認しておいた方が良いと思います。鉄道の場合は紀勢本線(きのくに線)の湯川駅が最寄り駅で徒歩15分位です。湯川駅は普通列車のみが停車する駅で時間帯によっては1時間以上列車が無かったりするので時間はあらかじめ調べておいた方が良いかと思います。湯川駅の隣の特急列車が停まる紀伊勝浦駅は昼間はタクシーが駅前に何台か停まっていました。近くにコンビニやスーパーは無く館内に飲み物の自動販売機も無いので必要な物がある場合あらかじめ購入してきてから来た方が良さそうです。
湯川温泉 旅館 恵比須屋は歴史ある温泉地にあるアットホームな雰囲気の宿でのんびりとすごすことができました。源泉かけ流しの温泉はとても気持ちが良く入浴できる時間は限られていますが貸切で使用できるので充分に温泉を楽しめました。宿泊関連の業務や食事造りなど基本的には女将さんがほとんど1人で運営なさっているようなので細かい事を気にする人の宿泊には向いていないかもしれませんが、湯川温泉の気持ちいい温泉に入ることができ手頃な価格で宿泊でき僕は満足でした。
宿泊プラン、空室や口コミは楽天トラベルの宿のページやじゃらんの宿のページで見る事ができます。土曜日にも1人泊のプランがあった(2024宿泊時)ので今回の旅の前後の日程的にもとても助かりました。