三斗小屋温泉 大黒屋(栃木)

2022-08-18

2022年の夏に栃木県に登山や温泉に入りに1泊2日の旅行に行ってきました。宿泊したのは三斗小屋温泉という最寄りのバス停から2時間ほど山道を歩いて行った場所にある大黒屋という宿です。

旅行全体のことについてはこちらの記事にて。

栃木で温泉とラーメンと餃子と那須岳(2022年8月)

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三斗小屋温泉に行くにはいくつかのルートがありますが、一番定番で登山口近くまで路線バスがあり、道も整備されていて僕のような登山初心者でも準備をしっかりすれば問題なく歩いて行けそうなルートで行くことにしました。まずは東北新幹線と宇都宮線(東北本線)の那須塩原駅へ。

 

 

 

那須塩原駅からは路線バスで終点の那須ロープウェイバス停まで向かいます。バスに乗っている時間は1時間20分位です。

今回は1泊2日なので2日間有効のバスのフリーパスを使うとお得(終点までの往復だけでもフリーパスの方がお得)だったので那須塩原駅にある那須塩原市観光案内所で購入しました。フリーパスについて詳しくは関東自動車のHPにて

路線バスの終点の那須ロープウェイ山麓駅に到着です。目的地の三斗小屋温泉にはここからロープウェイに乗って茶臼岳を登っていくルートもありますが、今回は1日目の天気が微妙なので茶臼岳は2日目の帰りに登ることにしてロープウェイには乗らずに近くの登山口からのルートにすることにしました。(歩く時間はどちらのルートでも同じくらいです)

那須ロープウェイ山麓駅から10分位歩いたところに登山口があります。今回のルートは道は整備されていて歩きやすいですし急な上り下りも無く迷いやすい場所も少なさそうで僕のような登山初心者でも準備をしておけば問題なく歩けるルートだと思います。

今回、登山用の靴、ザック、服などの他にはスマホにYAMAPという登山用アプリをインストールしておきました。このアプリであらかじめスマホに地図のダウンロードをおこないルートの設定をすると、この日の後半のようなスマホの電波が無い場所でもGPSで自分の位置がわかり地図を見ながら進むことができるので、そういう登山用のアプリは用意しておいた方が良いと思います。(持ち物や服装などはネットで検索すると色々出てきます)初心者でも大丈夫なルートとはいえ遭難などの可能性もあるので、事前の準備はしっかりとした方が良いかと思います。

登山口の近くには峠の茶屋駐車場という無料駐車場があり、駐車場の横にはトイレと休憩所もあります。登山口から先は三斗小屋温泉につくまでの2時間ほどトイレは無いのでトイレに行きたい場合は忘れずに寄りましょう。新しい建物でとても綺麗でした。100台以上の沢山の車を停めれる駐車場ですが、この日は天気が微妙(ここに着いた時は霧のような感じ)だったので殆ど車は停まっていませんでした。天気が良い繁忙期には朝の早い時点で満車になってしまうそうです。

登山口からしばらくは森の中のような木と木の間の道を歩き、途中から大きな木が無くなってきて風景が変わってきます。眺めも良くてテンション上がります。天気もだいぶ回復して来ました。

高山植物も生えていてとても綺麗です。

登山道はしっかりと整備されているうえにこのような案内板もありました。

奥の方に建物が見えます。

峰の茶屋跡避難小屋です。この日のルートではここが一番高い位置になります。この辺りは日によっては強風がふく場所らしいです。ロープウェイを使って茶臼岳を通るルートの場合もここで合流になります。

三斗小屋方面への案内があります。

ここからは下っていきます。山の陰になるここから先は携帯の電波が入らないので、何か連絡やSNS投稿などしたい場合は忘れずに(電波もあまり強くない感じでした)

初めて経験するような道なので緊張感ありましたが、微妙に小雨が降ってきたので景色を楽しんだりする余裕もなく慎重に進んでいきます。

木が生えて森のようになってる高さまで降りてきた頃に完全に雨が降ってきたので急いでレインウエアを着こみました。今回のためにアウトドア用のちゃんとしたレインウエアを購入して持って行ったのですが、着てみると今まで着た事がある普通のレインコートなどと比べて段違いに快適性が良くてテンション上がりました。

道に水が入り込んできて川みたいになってます。少しくらいの水ならトレッキングシューズだと全く問題ない感じでこれも驚きました。ちゃんとしたの買ってきておいて良かった(初心者向けの定番のトレッキングシューズですが歩きやすさも普通の靴と段違いでした。)

小川を渡る所にはしっかりとした造りの橋も。

しばらくすると雨が止んで晴れてきました。濡れた木々の間から光が差し込んできたのがめちゃめちゃ綺麗でテンション上がって一人ニヤニヤしながら歩いてました。

途中の分岐する場所ではスマホの登山アプリの地図(GPSで今いる位置を表示させてくれて地図もあらかじめスマホ本体にダウンロードしてあるので電波が無い山の中でも使えます)で確認しながら進んでいきます。整備されて歩きやすい道とはいえ道を間違えたら遭難の場合もあるので慎重に行きました。(登山初心者なので特に慎重に)

道に三斗小屋温泉についての案内板もありました。

道の先が開けてるようで明るくなってきました。もう少しで着きそうです。

建物が見えてきました。

三斗小屋温泉に到着です。三斗小屋温泉には大黒屋と煙草屋旅館という2つの宿があり、事前に調べたのですが両方ともそれぞれ魅力的でした。今回は大黒屋に泊まりましたが煙草屋旅館の方にも泊まってみたいです。

大黒屋の方が少し奥まで歩いて行ってから坂を下ったとこにありました。

こちらが入り口です。歴史を感じる佇まい。1840(天保11年)ごろの創業ですが戊辰戦争に巻き込まれて建物が焼失し1869(明治2年)に今の建物が作られてそれから改修をしつつ150年以上の歴史がある建物です。

入口を入るとロビーのような部屋になっていて販売されている記念品などのグッズの展示やテレビなどもありました。写真真ん中らへんの扉から出ると渡り廊下を通って新館に行けるようになってました。

150年の歴史がある建物ですが、何度か改修されているのと清掃が行き届いているのでとても綺麗でした。

宿の周辺も携帯電話の電波はありません。そして通常の電話線もインターネットも通じてません。という事で唯一の連絡手段である衛星電話が設置されていました。お客さんも有料で使用する事ができるようなので緊急での連絡があった時はこの電話を借りる事になるようです。

令和元年が再建150周年の年だったようです。

この扉の先に客室などがあります。

1階は厨房や乾燥室の他に客室もいくつかありました。

階段も年季入っています。古民家が資料館になってる所とかで時々見かけるような角度がきついタイプの階段ですが、ここでは現役バリバリです。こういう階段上り下りするだけでテンション上がりますね。

天井が低いので階段の段数少なく2階に登れます。

建物のあれこれどこもが歴史を感じて素晴らしいですね。作られたレトロではなく本当の歴史がある建物は不便な所もありますがそこにいるだけで心地よく感じました。

今回泊まった部屋は本館2階にある部屋でした。立地的には山小屋な宿ですが、旅館のように部屋は個室で使用することができます。

障子を開けると小さな窓ガラスが見えます。泊まった日の夜中が風が強かったのですが窓ガラスに風が当たると凄い音がしてました。

床の間と壁には絵も飾られていました。部屋もしっかり清掃されていて綺麗でした。

荷物を置く棚も壁に設置されていました。1人だったので広々と使わせてもらいました。部屋の出入り口は引き戸1枚で鍵もないシンプルな造りでした。

部屋の中の電化製品は天井の電灯だけ。この日は夕方から発電機で電気が供給されて明かりがつきました。部屋にはコンセントも無いのでスマホの充電は持参したモバイルバッテリーにて。

窓の外には隣にある新館の建物が見えました。この日は天気が悪くて宿泊者は少なかったので本館のみで新館は使用されてませんでしたが、翌日は天気が良い予報だったため予約が沢山入っていたそうで新館は翌日使用する準備がされてました。

窓の周りは変わった作りになっていて、窓の横が隣の部屋~その隣の部屋とずっと続いています。人が通れるほど広くは無いですが廊下みたいな造りになっています。なんか変わった作りですがどういう理由でこういう構造なのか気になります。(角の部屋だったのですが、もう片方の面も同じでした)

お茶のセットも用意されていてゆっくりくつろげます。

布団はふかふかの羽毛布団。シーツや枕カバーも綺麗で山の中の宿という事を忘れるような快適さでぐっすり眠れました。

食事の時間は山小屋らしい早めの時間。消灯時間を過ぎるとまもなく発電機がストップして電気が供給されなくなるので部屋の電気も自動で消灯になります。

温泉はチェックインから21時までと翌朝の6時~8時に入ることができ、浴室が2つあって1時間ごと(30分の時間帯もあり)に男女入れ替え制になってます...が、なんとこの日は天気が悪いためお客さんが少なく、偶然にも女性のお客さんが1人もいなかったので全部の時間で2つの温泉に自由に入りたい放題というラッキーな状態でした。片方の浴室が使用中だったらもう片方に入ったりしてたので、お風呂の中で他のお客さんに一緒になる事もなくのんびりと温泉を楽しめました。

2つある浴室の内、まずは大風呂へ。

脱衣所は棚のみがあるシンプルなタイプでした。脱衣所はリニューアルされているのか綺麗な感じがしました。

そして浴室に入るとこの雰囲気最高です。湯舟も広くて沢山の人数でも入れそうです。

浴槽は2つに分かれていて温度がそれぞれで違いました。奥が熱めで手前が少し冷める事でちょうどいい温度になってました。山の中にある宿のため石鹸類を流す事ができないので洗い場は無くシャンプーやボディーソープも使用不可です。

2本の竹の筒の中のパイプから源泉が投入されています。お湯は源泉かけ流しで湯舟から溢れたお湯が外に流れていきます。

建物が少し高い位置にあるようで周りの木々の枝や葉っぱの先に少し風景が広がる感じです。この日は風が吹いていて木々が揺れていたのもまた自然の中にいる感じで心地よかったです。

並々とお湯が入ったちょっと深めの湯舟に入って外を眺めるのがまた最高な気分でした。

大風呂に使用されているのは1号源泉という源泉でした。泉質は単純温泉(低張性中性高温泉)51.6度という熱めのお湯(源泉の温度なので湯舟はもっと低いですが)で無色透明で癖もないお湯でした。山の中を歩いてきた疲れもとれるし冷える夜にも体が暖まりました。中性の温泉なので肌にも優しそうです。

もう一つの浴室は岩風呂です。通常だと大風呂と岩風呂で男女分かれていて時間ごとに入れ替えになります。

こちらも脱衣所にはシンプルな棚がありました。

岩で囲まれたような作りの湯舟でサイズは小さめで1~2人くらい向けでしょうか。

こちらの岩風呂も源泉かけ流しです。こちらの岩風呂は大風呂とは違う源泉が使われていました。3号源泉という名前の源泉で泉質は単純温泉(低張性中性温泉)で源泉の温度が41.8度と温めの温度です。大風呂と比べて温めの温泉なのでこちらはのんびりつかることができました。

 

小さめの湯舟で温めの温泉ということで大風呂の方ともまた違った良さがありました。こちらの岩風呂も気持ち良かったです。

窓から日が入ってくるなか温めの温泉に浸かるのはとても気持ち良かったです。

この日の夕食です。山の中という場所を考えるととても充実したメニューですし手作りのお料理でどれも美味しかったです。ご飯と味噌汁の他に野菜やお肉、魚、デザートの果物まであり栄養バランスもバッチリです。お食事は部屋まで届けていただけて自分の部屋で頂きます。

車が通れる道が無い場所にあり、食材の業者さんも届けてくれるような場所では無いので生鮮食材などは宿のかたが背負って徒歩でこの地まで持ってきてくださってるそうです。

朝食も手作りのお料理中心で美味しかったです。ご飯、味噌汁の他シシャモや温泉玉子、納豆などで栄養ありそうです宿の名前入りのパッケージに入った海苔も嬉しいですね。これからまた山道を歩いて帰るのでしっかりと朝食を食べて備えます。

8月中旬でしたが標高1450メートルの高さにあるので気温は普段の街中での生活より過ごしやすい温度でした。

夜中には15度くらいになっていたので半袖Tシャツだと肌寒さを感じました。晴れた日の夜とかだとまた違うのかもしれませんが、夜は冷えると思いますので長袖の服も持って行った方が良いかと思います。僕は薄いポケットブルパーカーしか持って行ってなかったのでそれだとちょっと寒く、レインウェアを着ていました。そして温泉に入って暖まってから早めにお布団に入りました。

建物の中にある洗面台もとても綺麗でした。ここの水道は手を洗う事はできますが飲用は不可(硫黄分が含まれているとか)でした。建物を出て入り口の前にある水場の水は飲用可とのことなので水を汲みたいときはそちらにて。

トイレは和式のタイプでしたが綺麗でした。

翌朝は天気も回復しました。ここからまた徒歩で歩いて帰ります。

しばらく木々の間を歩いて行きます。水はけがいいのか前日の雨の影響は無くて歩きやすかったです。道の前方の遠くの方に動物が自分と同じ方向に歩いているのが見えて、もしかして熊!?とビビりましたがよく見てみたら多分猿っぽかったです。しばらく前の方を歩いていましたがやがて道の脇の藪のなかに消えていきました。

森のような地帯を抜けて山を登っていきます。前日は天気が微妙で景色を楽しむ余裕は無かったのですが今日は天気が良くて眺めも最高です。圧倒的なスケール感で自然を満喫できました。一歩間違えると谷底に滑り落ちていきそうな箇所も道にあるので慎重に進んでいきました。

峰の茶屋跡避難小屋まで戻ってきました。携帯電話の電波もここだと入ります。

帰りはここから行きと違うルートで茶臼岳を登っていきます。大小の岩が一面に広がり足元が不安定な場所もありますが急な斜面も無くロープが張られた範囲内でのルートを登っていけるので慎重に歩いて行けば僕のような登山初心者でも大丈夫でした。この日はそんなにでもなかったですが、風がふいてて半袖だとちょっと寒かったのでここら辺からはポケッタブルパーカーを着込みました。

茶臼岳の頂上です。この日は天気も良くて夏休みシーズンというのもありロープウェイ方面から沢山の人が登ってきていました。頂上付近も岩が多くて広いスペースは無いですが、休憩できそうな小さなスペースは沢山あったので小休憩。

景色がとても綺麗でテンション上がりまくりました。ここからロープウェイ山頂駅方面に降りていきましたが、ロープウェイを降りて登ってくる人が多くて道が狭いところではちょっとした渋滞ができてました。

那須ロープウェイ山頂駅に到着です。ここからロープウェイで降ります。

ロープウェイで降りて駅の周りを見ると駐車場に入る車が大渋滞。

ロープウェイ山麓駅の前のバス停から黒磯駅~那須塩原駅に向かう路線バスに乗って帰ります。この後那須湯本温泉に寄ったり黒磯駅近くのラーメン屋さんや宇都宮駅近くの餃子屋さんに寄って帰りました。

山道を歩いて行く温泉宿という事で興味があって登山用の用品を揃えたり予め色々調べてから今回三斗小屋温泉へ行きましたが、自然の中での時間を楽しめ温泉もとても気持ち良かったです。歴史ある建物に泊まれるのもとても貴重な体験でした。三斗小屋温泉にはまた行ってみたいですし、その時は帰りに朝日岳の方も行ってみたいなと思ってます。

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